
レモンバーム(メリッサ)
Melissa officinalis
主な成分
- Rosmarinic acid
- Luteolin
- Luteolin-7-glucoside
- Apigenin
- Apigenin-7-glucoside
- Caffeic acid
- Chlorogenic acid
- Ursolic acid
- Oleanolic acid
- Citronellal
- Linalool
- Geraniol
- Beta-caryophyllene
伝統的な利用
- 不安・ストレスの軽減
- 認知機能サポート
- 睡眠サポート
- 単純ヘルペスウイルスの外用

この植物のギリシャ語属名——melissa——は「蜂」を意味する。
属名がこの最も注目すべき特徴を記録している:蜂が確実に、大量に引き寄せられた。欧州各地の養蜂家は、新しい群れを引き寄せ既存のコロニーをとどまらせるために、新鮮なレモンバームをハイブの内側に塗り込んでいた。蜂と結びついた植物は、勤勉さ、コミュニティ、甘さと関連づけられた——メリッサは一般的な女性名でもあった。
薬用としての使用はこれと並行してきた。これほど明確にレモンの香りがする植物(実際のレモンよりも明確で清潔な香り)、これほど容易に育つ植物、蜂が好む植物——使われないはずがない。古典時代から欧州のハーブ医学に記録され、中世を通じて医師に処方され、1611年からパリのカルメル会修道院で蒸留され、1990年代以降は臨床試験で研究されてきた。
植物としての姿
高さ30〜80cmの多年草で、触れるとはっきりとしたレモンの香りがするしわのある楕円形の葉を持つ。香りは澄んでいて、明るく、わずかに花のような甘みがある——実際のレモンよりもレモンらしい。シソ科:四角い茎、向き合った葉、唇形花。ほぼあらゆる温帯の庭の条件で容易に育つ。
日本全国で一般的な庭のハーブだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科名 | シソ科(Lamiaceae) |
| 学名 | Melissa officinalis |
| 別名 | メリッサ、レモンバーム、Balm、Sweet balm |
| 生活型 | 多年草 |
| 原産地 | 地中海・中央アジア;世界各地で広く栽培 |
| 利用部位 | 葉(生または乾燥) |
蜂の植物と修道院の話
養蜂の関係は実用的だ。ハイブの内側——壁、入口、枠——に新鮮なレモンバームを塗り込むと偵察蜂が引き寄せられ、群れが定住するよう促す。人間がすっきりとしたレモン香と感じるものが、蜂には何か有用な情報を伝えている。それが正確に何かは養蜂科学がまだ完全に解明していない問いだ。
パリのカルメル会修道院(現Monastère des Carmes)の修道女たちは1611年にオー・ド・メリッサ・デ・カルム(カルメル水)を製造し始めた。製法はレモンバームの蒸留液にアンジェリカ、コリアンダーなど他のハーブを組み合わせたものだ。欧州全体で消化器トニック、頭痛薬、一般的な強壮剤として販売された。同じ製法が1611年から400年以上、同じ機関によって継続的に製造されてきた——今日も販売されている。
世界で最も長く継続的に製造されてきたハーブ調製品のひとつで、今も同じ場所で作られ続けている。
認知の逆説
ほとんどの鎮静系ハーブは、不安が下がると同時に注意力も下がるというトレードオフを持つ。
レモンバームの臨床試験は繰り返し異なる結果を示した。Kennedy ら(2002年、2004年)では、標準化レモンバームエキスを摂取した参加者が不安・ストレス評価の低下と共に、記憶・注意力・処理速度タスクのスコア改善を示した。落ち着いていながら同時に鋭くなる。その後の別の研究者による試験でも同じパターンが現れた。
メカニズムは薬理学的に筋が通っている。主要活性成分ロズマリン酸は、ひとつの経路でGABA-T(バレリアンと同様に)を阻害し、別の経路でアセチルコリンエステラーゼ(アルツハイマー薬ドネペジルが、はるかに弱い強度で行うのと同じように)を阻害する。アセチルコリンエステラーゼは記憶と集中した注意に欠かせない神経伝達物質アセチルコリンを分解する。この分解をわずかに遅らせることで、レモンバームはアセチルコリンの利用可能性を増やしながら、同時にGABA作動性の鎮静をサポートする。
より落ち着いて、かつより注意力が高い——これが16世紀の医師錬金術師パラケルスが毎朝レモンバームのお茶を飲み、「生命の霊薬」と呼んでいた理由かもしれない。誇張だった可能性はある。本物の効果を描写していたことも確かだ。
化学成分
ロズマリン酸が主要活性成分——ローズマリーやセージにも含まれるフェノール酸エステルだが、レモンバームでは高濃度に存在する。抗ウイルス、抗炎症、GABA調節の効果をもたらす。
ルテオリンとアピゲニン配糖体が抗酸化と軽度の抗不安活性に寄与する。
精油(シトロネラール、リナロール、ゲラニオール)が特徴的なレモンの香りを担う。油の含量は低いが(乾燥葉の0.1〜0.2%)、香りは強烈だ。
| 化合物 | 分類 |
|---|---|
| ロズマリン酸 | フェノール酸エステル |
| ルテオリン | フラボン |
| ルテオリン-7-グルコシド | フラボン配糖体 |
| アピゲニン | フラボン |
| アピゲニン-7-グルコシド | フラボン配糖体 |
| カフェイン酸 | ヒドロキシ桂皮酸 |
| クロロゲン酸 | ヒドロキシ桂皮酸 |
| ウルソール酸 | トリテルペノイド |
| オレアノール酸 | トリテルペノイド |
| シトロネラール | 単環テルペンアルデヒド(精油) |
| リナロール | 単環テルペンアルコール(精油) |
| ゲラニオール | 単環テルペンアルコール(精油) |
| βカリオフィレン | セスキテルペン(精油) |
実際の使い方
お茶(最も一般的): 生または乾燥葉小さじ1〜2を熱湯で5〜10分浸出。生の葉はより明るくレモンらしい風味;乾燥葉は少し風味が変わるが濃縮されている。鎮静効果のためには1日2〜3杯、睡眠サポートには就寝前1杯。
標準化エキス: ロズマリン酸含量で標準化された1日300〜600mg。認知・不安効果を示した臨床試験で使用された形態。
バレリアンとの組み合わせ: 睡眠に関する最も臨床的サポートが強い組み合わせ。2つのRCTが単独ハーブより組み合わせが睡眠の質を有意に改善することを示した。
外用(口唇ヘルペス): ロズマリン酸で標準化されたレモンバームクリームが、最初の症状が出た時に塗布することでヘルペス・ラビアリスの持続時間と重症度を軽減する臨床エビデンスがある。抗HSV作用は実験室研究で確立している。
料理に: 生のレモンバームは欧州料理と日本料理でハーブとして使われる——サラダ、魚料理、冷たい飲み物、デザートに。風味はレモンジュースより穏やかで酸性が少ない。
自分で育てられますか?
簡単に育てられる。レモンバームはほぼどんな条件でも熱心に育つ——直射日光、半日陰、痩せた土壌、肥えた土壌。自家採種と地下茎で広がる。日本の気候では北海道から沖縄まで育つ。
最も化合物含量が高い開花前に葉を収穫する。株は地際まで切り戻しても1シーズンに2〜3回再生する。低温で素早く乾燥させるか生のまま使う。
注意:レモンバームは蜂を引き寄せる。蜂がいないことが必要な庭では、座席エリアから離れた場所に植えること。
日本でのレモンバーム
レモンバームは日本全国で一般的な庭のハーブで、レモンバームまたはメリッサの名前でホームセンターに苗として並んでいる。日本のハーブガーデンでは主に香りと料理用途のために使われる——お茶、インフューズドウォーター、料理に。
薬用サプリメント市場は成長している。標準化レモンバームエキスカプセルが、臨床エビデンスのあるカテゴリー——不安、睡眠、認知サポート——でサプリメント小売に並んでいる。
日本の伝統医学にレモンバームとの関係はない。漢方成分ではなく、古典的な日本語名も医学的応用も持たない。庭とサプリメントのルートを通じた導入のみだ。カフェインの刺激感や処方抗不安薬の鎮静感がなく、勉強・パフォーマンスサポートを探す日本の消費者に、認知+鎮静の組み合わせが響いている。
よくある質問
Q. なぜ認知機能を改善しながら不安を軽減できるのか? ロズマリン酸が、GABA-T(鎮静のため)とアセチルコリンエステラーゼ(認知機能のため)の両方を異なるメカニズムで同時に阻害する。結果として落ち着いていて認知的に有効な状態になる。
Q. カルメル水とは何か? 1611年からパリのカルメル会修道院の修道女たちが製造するレモンバームの蒸留製品——今も製造中。世界で最も長く継続的に製造されてきたハーブ調製品のひとつ。
Q. 口唇ヘルペスに効果があるのか? 外用レモンバームクリームにヘルペス・ラビアリスへの正の臨床エビデンスがある。ロズマリン酸のHSVに対する抗ウイルスメカニズムは実験室研究で確立している。
Q. 日本で育てられるか? 育てられる——容易に。日本全国に普及した庭のハーブだ。
植物学的な詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Melissa officinalis L. |
| 科名 | シソ科(Lamiaceae) |
| 近縁種 | M. axillaris(ヒマラヤバーム) |
| 生活型 | 多年草 |
| 原産地 | 地中海・中央アジア |
| 主要産地 | 東欧;ドイツ、ブルガリア |
| 日本 | 一般的な庭のハーブ;サプリメント市場が成長中 |
| 利用部位 | 葉(生が好ましい;乾燥も使用) |
含有化合物一覧
| 化合物 | 分類 |
|---|---|
| ロズマリン酸 | フェノール酸エステル |
| ルテオリン | フラボン |
| ルテオリン-7-グルコシド | フラボン配糖体 |
| アピゲニン | フラボン |
| アピゲニン-7-グルコシド | フラボン配糖体 |
| カフェイン酸 | ヒドロキシ桂皮酸 |
| クロロゲン酸 | ヒドロキシ桂皮酸 |
| ウルソール酸 | 五環性トリテルペノイド |
| オレアノール酸 | 五環性トリテルペノイド |
| シトロネラール | 単環テルペンアルデヒド |
| リナロール | 単環テルペンアルコール |
| ゲラニオール | 単環テルペンアルコール |
| ネロール | 単環テルペンアルコール |
| シトラール(ネラール+ゲラニアール) | 単環テルペンアルデヒド |
| βカリオフィレン | セスキテルペン |
| チモヒドロキノン | 単環テルペン |
| オイゲノール | フェニルプロパノイド |
| ケルセチン | フラボノール |
| イソケルシトリン | フラボノール配糖体 |
関連するハーブ
- バレリアン: 睡眠のための組み合わせが2つのRCTで支持されている;標準的なバレリアン+レモンバームの組み合わせ
- カモミール: もうひとつの穏やかな神経系ハーブ;アピゲニンを基盤としたGABA調節
- アシュワガンダ: 同様の認知+鎮静プロファイルを持つアダプトゲン;異なるメカニズム、より長い蓄積期間
参考文献
- Kennedy DO, et al. Modulation of mood and cognitive performance following acute administration of Melissa officinalis. Pharmacol Biochem Behav. 2002;72(4):953-964.
- Kennedy DO, et al. Attenuation of laboratory-induced stress in humans after acute administration of Melissa officinalis. Psychosom Med. 2004;66(4):607-613.
- Cases J, et al. Pilot trial of Melissa officinalis L. leaf extract in the treatment of volunteers suffering from mild-to-moderate anxiety disorders. Mediterr J Nutr Metab. 2011;4(3):211-218.
- Koytchev R, et al. Balm mint extract (Lo-701) for topical treatment of recurring herpes labialis. Phytomedicine. 1999;6(4):225-230.