サンザシ(ホーソーン)

サンザシ(ホーソーン)

Crataegus monogyna / C. laevigata

科: Rosaceae 使用部位: Berries (haws), leaves, flowers

主な成分

  • Vitexin
  • Vitexin-2-O-rhamnoside
  • Hyperoside
  • Rutin
  • Isoquercitrin
  • Oligomeric procyanidins (OPCs)
  • Quercetin
  • Chlorogenic acid
  • Caffeic acid
  • Epicatechin
  • Ursolic acid
  • Oleanolic acid

伝統的な利用

  • 軽度心不全のサポート
  • 末梢血管疾患
  • 血圧のサポート
  • 消化促進(山楂)
サンザシ(ホーソーン) botanical illustration

5月の花を家の中に持ち込むのは縁起が悪い。

これは英国の民間伝承だ——英国で最も根強い植物にまつわる禁忌のひとつ。毎年5月になると生垣に白とピンクのホーソーン(サンザシ)の花の房が現れる。特徴的な匂いがする。そして室内に持ち込んではいけない。考えられる理由はいくつかある:花にはトリメチルアミン(死体の腐敗臭にも含まれる化合物)が含まれる、花粉量が多い、キリスト教以前のベルテーン祭りとの関連でキリスト教会が不穏視した。どれも決定的ではない。それでも禁忌は続く。

同時に、ドイツの心臓専門医は標準化ホーソーンエキスを軽度心不全に処方している。欧州の医師には臨床試験データがある。同じ木が両方の反応を同時に引き起こしている。

植物としての姿

高さ2〜10mの低木〜小高木で、棘、小さな暗緑色の葉、5月に密な白〜淡ピンクの五弁花の房を持つ。実——ハウ(haw)——は小さく暗赤色、粉質の食感で、秋に熟す。欧州と温帯アジアの生垣、林縁、低木地に自生し、英国の伝統的な生垣景観を定義する植物のひとつだ。

中国・日本では:Crataegus pinnatifida(山楂、サンザシ)——より大きな実、より明確に酸味があり、中国・日本の伝統医学で主に使われる種だ。

項目内容
科名バラ科(Rosaceae)
学名Crataegus monogyna(一柱ホーソーン)、C. laevigata(二柱ホーソーン)、C. pinnatifida(東アジア系)
別名サンザシ(日本・中国)、May tree、Whitethorn
生活型多年生低木〜小高木(500年以上生存可能)
原産地C. monogyna/laevigata:欧州・北アフリカ・西アジア;C. pinnatifida:東北アジア
利用部位実(ハウ)、葉、花

最古の心臓ハーブ

心臓疾患へのホーソーン利用の文書記録は10世紀のヨーロッパの医学文書に現れる。中世の医師たちは動悸や「心臓の衰弱」に使っていると記録した。彼らが記述した症状が現代の心臓専門医が診断するものと正確に一致するかは不明だが、植物が心血管系に効果を持つことを彼らが観察していたことは確かだろう。

19世紀にはこの伝統が正式化した。アイルランドのクレア郡のグリーン医師は1890年代に心臓病へのホーソーンチンキ剤の報告を発表していた。大陸のヨーロッパのハーブ医師も同様に使っていた。このハーブは20世紀初頭に欧州の正式な薬局方に入った。

ドイツの製薬研究がオリゴメリックプロシアニジン(OPC)18.75%に標準化した抽出物WS 1442を開発し、多年にわたる臨床試験プログラムを実施した。SPICE試験(2681人を10年間追跡)はハーブ製品で実施された最大規模の臨床試験のひとつだ。ドイツ薬事委員会(Commission E)は心拍出量の低下と不整脈へのエキス使用を認可した。

中国の伝統は独立して発展し、異なる結論に至った。中国医学の山楂(しゃんじゃ)は主に消化の停滞——脂っこい食事や重い食事の消化困難、食欲不振——に使われる。同じ植物だ。同じ化合物だ。文化的な強調点が違う。

化学成分

オリゴメリックプロシアニジン(OPC)が主要な心臓保護化合物——ブドウ種子エキスや松の樹皮に含まれるのと同じタイプだ。血管内皮の一酸化窒素経路を活性化することで血管拡張と冠血流改善をもたらす。また、心臓血管組織を保護する抗酸化特性を持つ。

​ビテキシン-2-O-ラムノシド​はフラボンC配糖体で、欧州医薬品製剤の主要な標準化指標だ。変時・変力効果(心拍数と収縮力の正常化)に寄与する。

​ヒペロシドとルチン​は抗酸化活性を持つフラボノール配糖体だ。

​有機酸​(リンゴ酸、クエン酸、酒石酸)は実の酸味に寄与し、中国の伝統が重視する消化刺激効果を持つ。

化合物分類
オリゴメリックプロシアニジン(OPC)縮合タンニン
ビテキシン-2-O-ラムノシドフラボンC配糖体
ビテキシンフラボンC配糖体
ヒペロシドフラボノール配糖体
ルチンフラボノイド配糖体
イソケルシトリンフラボノール配糖体
ケルセチンフラボノール
エピカテキンフラバン-3-オール
カテキンフラバン-3-オール
クロロゲン酸ヒドロキシ桂皮酸
カフェイン酸ヒドロキシ桂皮酸
ウルソール酸トリテルペノイド
オレアノール酸トリテルペノイド
リンゴ酸有機酸
クエン酸有機酸

実際の使い方

​標準化エキス(心臓系用途): WS 1442またはOPCもしくはビテキシン-2-O-ラムノシドで標準化された同等品。1日160〜900mgを分割して服用。効果が出るまで4〜8週間かかる。これが臨床エビデンスの土台となっている形態だ。

​実のお茶: 乾燥した実(ハウ)小さじ1〜2を15〜20分煮出す。穏やかな酸味で飲みやすい。標準化度は低いが伝統的な方法。中国の伝統では消化用途にこの形が最も一般的だ。

​チンキ剤: 1回1〜2mL、1日3回。OPCとフラボノイドを含む全化合物マトリックス。

​ジャムと食品: ホーソーンの実はジャム、ゼリー、伝統的な欧州の果実保存品に使われる。高ペクチン含量が保存に向いている。中国の形態(山楂)は干し実やお菓子として食べられる。どちらも食用であり、サプリメント投与量ではない。

​重要: 処方された心臓薬の代替として使わないこと。臨床エビデンスは軽度の心不全への補助または軽症例での単独使用を対象としている。

自分で育てられますか?

スペースがあれば育てられる。ホーソーンは温帯気候で最も丈夫で長命な低木のひとつだ。

Crataegus monogynaC. laevigataは日本全国の温帯域に生育する。痩せた土壌、吹きさらしの環境、寒冷にも耐える。生垣植物として使われている。C. pinnatifida(サンザシ)はより大きな実のために日本の一部地域で栽培されている。

棘があるので収穫時には注意が必要。実は秋に暗赤色でやや柔らかくなった頃に収穫する。葉と花は5月の開花期に採取するのが最適だ。

日本でのサンザシ

日本のホーソーン/サンザシとの伝統的な関係は主に中国ハーブ伝統を通じてのものだ。

サンザシ(Crataegus pinnatifida)は消化器用途を重視した中国の強調点に従って日本の伝統医学に登場する。日本薬局方に公定生薬として収載されている。これを含む漢方処方では主に食積(食べ過ぎ・消化不良)と消化機能不全に使う。

サンザシの実は日本でも伝統的な食品だ——干し実、サンザシジャム、サンザシドリンクは一部地域の特産品だ。干し実は甘酸っぱい風味のスナックとして食べられる。

欧州の心臓系伝統——軽度心不全への医薬品ホーソーンエキス——は主にサプリメント市場を通じて日本に入っている。WS 1442と同等の標準化エキスは自然食品系サプリメント店で入手可能だ。消化重視の日本の伝統的用途と心臓重視の欧州医薬品用途の区別は注目する価値がある:関連する化合物を異なる用途に使っているのだ。

よくある質問

Q. 臨床研究は何を示しているのか? SPICE試験(2681人、10年間):特定の心不全サブ集団での中程度の有益性。複数の小規模試験:軽度心不全患者での運動耐容能と心臓効率の一貫した改善。ドイツ薬事委員会(Commission E)が心拍出量の低下への使用を認可。

Q. 5月の花を家に持ち込むのはなぜ縁起が悪いのか? 花にはトリメチルアミン(腐敗と関連する匂いを持つ)が含まれること、高い花粉量、キリスト教以前の春祭りとの歴史的関連など、複数の説がある。禁忌は記録されているが、起源は決定的には確立していない。

Q. 中国と欧州の伝統の違いは? 欧州の伝統:心臓系(強心薬、血圧サポート、心不全)。中国・日本の伝統:消化器(食積、脂質の多い食事の消化、食欲刺激)。同じ植物だが強調点が異なる。

Q. 心臓薬の代わりに使えるか? 使えない。エビデンスは軽度の心不全への補助または軽症単独治療を対象とする。ホーソーンを服用するために処方された心臓薬を中止してはならない。心臓病の診断がある場合は医師の監督下で使用すること。

植物学的な詳細

項目内容
学名C. monogyna Jacq.、C. laevigata (Poir.) DC.、C. pinnatifida Bunge(東アジア)
科名バラ科(Rosaceae)
近縁種C. oxyacanthaC. azarolus、多数の北米種
生活型多年生低木〜小高木;500年以上生存可能
原産地C. monogyna/laevigata:欧州・北アフリカ・西アジア;C. pinnatifida:東北アジア
主要産地東欧;中国(サンザシ)
日本C. pinnatifida(サンザシ)が日本薬局方に収載;欧州エキスはサプリメントとして入手可能
利用部位実、葉、花

含有化合物一覧

化合物分類
オリゴメリックプロシアニジン(OPC)縮合タンニン(エピカテキン/カテキン単位)
ビテキシン-2-O-ラムノシドフラボンC配糖体
ビテキシンフラボンC配糖体
オリエンチンフラボンC配糖体
ヒペロシドフラボノール配糖体
ルチンフラボノイド配糖体
ケルセチンフラボノール
イソケルシトリンフラボノール配糖体
エピカテキンフラバン-3-オール
カテキンフラバン-3-オール
クロロゲン酸ポリフェノール
カフェイン酸ヒドロキシ桂皮酸
フェルラ酸ヒドロキシ桂皮酸
ウルソール酸ウルサントリテルペノイド
オレアノール酸オレアナントリテルペノイド
リンゴ酸有機酸
クエン酸有機酸
酒石酸有機酸
トリメチルアミン揮発性アミン(花に含有)

関連するハーブ

参考文献

  1. Pittler MH, et al. Hawthorn extract for treating chronic heart failure. Cochrane Database Syst Rev. 2008;(1):CD005312.
  2. Holubarsch CJF, et al. The efficacy and safety of Crataegus extract WS 1442 in patients with heart failure (SPICE trial). Eur J Heart Fail. 2008;10(12):1255-1263.
  3. European Medicines Agency. Assessment report on Crataegus spp. HMPC; 2016.
  4. Chang Q, et al. Hawthorn. J Clin Pharmacol. 2002;42(6):605-612.
  5. 難波恒雄. 『原色和漢薬図鑑』. 大阪: 保育社; 1980.